様々な職種の中でも、特に事務職の求人は倍率が高くて人気だとも言われています。
楽なデスクワーク、プライベートを充実させるための土日休み、定時退社、等々。
求人を掛ければすぐに応募が殺到するほど人気な理由も、みんなが事務やりたい!という気持ちも分からなくはないです。
それでも、私には不向きでした。
今回は、事務職として従事していた経験を踏まえて、私が辞めたいと思った理由について述べていきたいと思います。
目次
事務職を辞めたいと思った主な理由
一般的に事務職などのデスクワークといえば、楽だというイメージを持たれることも多いと思います。
確かに、勤務時間中ずっと座って作業ができるので、体力を使う仕事に比べたら楽かもしれません。
室内は空調も完備しているし、仕事を覚えてしまえば自分のペースで作業を進められます。
暇な時間があったらネットサーフィンをしたり、早く仕事が終われば定時で帰ることもできます。
ただ、それでも私には向いていないと思った主な理由が、仕事内容が向いていなかったということです。
そもそもの話なのですが、ずっとPCの前に向かって、1日中じっと作業していることができませんでした。
致命的というか根本的な話になってくるのですが、何時間もPCに向かって作業していても、集中力が続かない。
イライラする、ストレスが溜まる。
目は悪くなるし、肩も凝るし、足もむくんできてしまいます。
出来る人は凄いスピードでタイピングしていますが、私にとって1日中デスクワークなんて、もはや苦痛でしかありませんでした。
株式会社ビズヒッツが行なった事務職をしている500人を対象にした「事務職を辞めたいと思うときに関する意識調査」を実施、ランキング化したデータがあります。
- 調査概要
調査対象:事務職をしている人
調査日:2022年2月12日~20日
調査方法:インターネットによる任意回答
調査人数:500人(女性361人/男性139人)
調査結果が以下の通りです。
事務職を辞めたいと思う時ランキング
1位 仕事が単調・やりがいを感じない
2位 眼精疲労・肩こり・頭痛・腰痛
3位 仕事量が多い
4位 人間関係が悪い
5位 給料が少ない・上がらない
6位 雑用が多い
7位 息抜きできない
8位 楽な仕事と思われている
9位 評価されない
10位 電話応対がイヤ
仕事が単調・やりがいを感じない
事務職を辞めたいと思う時の1位は「仕事が単調・やりがいを感じない」でした。
・毎日単純作業で変化がなく、働いている目的や楽しみが見出せない
・ルーチンワークな作業を毎日やっていると、自分が何も成長できていないのではと感じてしまう
・単純作業を毎日繰り返しやっていて、自分じゃなきゃいけないわけでもないし、私が辞めても誰も止めないだろうし、誰も困らないだろうなとふと思う
事務職は、どうしてもルーティンワークになりがちです。
業務に慣れて自分なりのやり方が確立されると、単純作業になってしまい、向上心のある人や仕事ができる人ほど「つまらない」と感じてしまうようです。
眼精疲労・肩こり・頭痛・腰痛
・眼精疲労や肩凝り・首凝り・頭痛がすごくて、パソコン画面やiPhone画面すら見たくなくなる時がある
・肩から首から頭まで酷く痛む時は事務職をやめたくなる
・マウスで手が痺れて感覚がなくなったり、肩や首の痛みが薬やマッサージでも治らない
仕事の多くがデジタル化した昨今、一日中パソコン作業をしていたり、通勤時間中やプライベートの時間までスマホの画面を見ていることも多いです。
今や、眼精疲労や肩こり・頭痛・腰痛などは、事務職の「職業病」と言ってもいいかもしれません。
事務職をしてから視力が落ちたという人も年令問わず目立ちます。
不調の原因が分かっているだけに「このまま続けていいものか」と不安を感じてしまいます。
仕事量が多い
・山のような書類を長時間、処理させられる
・とにかく忙しい。営業の人が取ってきた仕事を丸投げされて手伝ってももらえないのでどんどん仕事がたまる
・退勤時間間近に今日中に処理しなければいけない膨大な書類が回ってきた時
月末、決算、締め日などに仕事量が増え、「休憩する暇もないほど忙しい」「残業が続く」といった状態になる人が多数。
仕事が特定の日や時間に集中しないよう調整できればいいですが、コントロールできないケースも多いです。
また、「終業時間まぎわに帰社した営業さんに事務作業を振られる」というのも、事務職あるあるではないでしょうか。
仕事を依頼する側は、事務職が抱えている仕事量を把握していないケースがほとんどです。
人間関係が悪い
・事務職は職場の人と関わる時間が長い。理不尽な上司がいると辞めたいと思ってしまう
・事務職は上司ともよくやりとりをするので、パワハラや、セクハラの上司だとすごくしんどい
・女性が多いので、何かと気を遣う
人間関係の悩みは、事務職に限らず多くの社会人が抱えています。
しかし事務職の場合、就業時間のほとんどを自席で過ごすため、職場に苦手な人がいても逃げ場がありません。
苦手な人とも長い時間一緒にいなければならないため、物理的に距離をおける営業職などよりも精神的なつらさを強く感じてしまいます。
給料が少ない・上がらない
・若い営業職の方が給料が良い
・どんなに経歴を積んでも給料が上がらない
・給料日に給料の低さを実感する。昇級やインセンティブを受け取れる機会が少ない
事務職は、他部署に比べて給与水準が低いことに合わせ、昇給しにくい点に不満を感じている人が多数います。
営業職の場合、成績によってインセンティブ、ボーナス、昇給などがあります。
一方事務職は、膨大な仕事や大変な仕事を「スキル」や「頑張り」でやり遂げても、給与には反映されません。
そのため、不公平感や「仕事量に賃金が見合っていない」と不満を感じる事務職は多いです。
雑用が多い
・パソコンスキルを評価されて事務職に採用されたのに、なぜこんな雑用をやらないといけないんだろうと嫌になる
・雑務がすべて女性事務員へ回ってくるという暗黙のルールがある
・社内の御用聞きみたいな仕事をしないといけないとき
会社の風土にもよりますが、規模の小さい会社では、お茶出し、コピー取り、お使い、掃除などが「事務職の仕事」になりがちです。
ほかにも、自分の仕事ではないことを「これやっといて」的な感じで頼まれることが、他の職種の人よりも多いです。
スキルが高い人ほど、「なんでも屋」のような扱いに嫌気がさすのかもしれません。
息抜きできない
・デスク作業が多く、気分転換を仕事中にあまりできなく自由度が低い
・狭い空間でのありきたりな仕事の毎日なので息苦しい
・電話対応や雑用など、一挙一動を先輩社員が密かにチェックしていて怖い
就業時間の大半を自席で過ごす事務職の方からは、「息抜きできない」との声が寄せられました。
営業職のように外出する機会がないと、気分転換が難しいです。
「一人事務なので一日中誰とも会話がなく、精神的につらい」という人もいます。
また、狭い事務所や少人数の会社の場合は、電話応対や仕事の様子を常に上司に監視されているようで息苦しいと感じる人も多いです。
楽な仕事と思われている
・事務職は座っているので、楽な仕事と思われがち
・営業職の人に、事務職は楽でいいよなと言われた時
・事務職というだけで他職種より下に見られる
苦労や頑張りに気づいてもらえず、簡単な仕事と思われるのは悔しいですよね。
それどころか、「座っているだけ」「会社に利益を生み出していない」などと見下す人もいるようです。
たしかに「間接業務」である事務職は、直接的には利益を生み出しません。
しかし、縁の下の力持ちである事務職がいてこそ会社は成り立っています。
安直な考えで失礼な発言をする人がいるのは、とても残念なことです。
評価されない
・数値で評価されることがないため、頑張っても頑張らなくてもあまり給料に反映されず、モチベーションが維持しにくい
・成果が見えにくい仕事が多く、上司や会社からの評価を得られない
・PC処理速度では、社内で一番といっていいほど自信もあるが、周りからはなかなか評価されない
事務職は、営業職のように「取引先を開拓した」「売上目標を達成した」といったわかりやすい「会社への貢献度」が見えません。
そのため会社側からすると、評価をしにくいという事情もあります。
また事務職は、「できて当たり前」という基準になりがちなため、頑張りをアピールする機会がないどころか、ミスをすれば評価が下がってしまいます。
頑張っても報われないと感じ、モチベーションが上がらなくなる人も多いようです。
電話応対がイヤ
・電話のほとんどがクレーム。対応するのに疲れた
・事務仕事をしている時に電話が殺到する時はイラッとして嫌気がさす。電話は一方的にかかってくるので仕事を中断して出なければならないから
・静まり返った事務所で電話に出ると会話を全て聞かれているようですごく嫌
事務職には避けられない仕事である「電話対応」がイヤという声も目立ちました。
なかでも、クレーム対応が苦痛で事務職を辞めたくなるという人が多数。
理不尽なことを言われたり、自身のミスではないことで謝罪したりするのはイヤですよね。
また、電話対応のせいで仕事が滞ったり、中断されたりすることにイライラするとの声も。
「電話は事務職の女性がとる」といった暗黙の了解があることに不満を抱いている人も少なくないようです。
自分の将来が見えてしまうことの恐怖
ストレスの溜まる生活
職場の先輩は、毎日仕事でイライラしていて、ストレスのせいで周りに当たったり、やけ食いに走ったり、買い物で散財して後悔したりしていました。
健康面においても、長時間のデスクワークのせいで積み重なった肩凝りや腰痛が酷くなり、マッサージ通いをしているという先輩もいました。
ストレスと不規則な生活習慣が積み重なり、せっかく取れた平日の有給休暇も、お局さんの予定は毎回病院通いで検査の繰り返しだと嘆いていました。
生活のためにお金を稼いでいるのにも関わらず、余計な出費が増えると本末転倒というか、もうなんのために働いているのか分からなくなってきてしまいます。
仕事に疲れてリフレッシュすることは大事ですが、このままずっと変わらないデスクワークを続けていても、同じような日々で疲れが溜まる一方です。
毎日疲れている先輩たちを間近で見てきて、ネガティブな感情しか生まれて来ず、将来、ああなりたくない。そう思ってしまったのが本音です。
なにより、全然、楽しそうではありませんでした。
このまま、この職場に居続けても絶望しかない気さえしました。
代わり映えのしない毎日
職場は独身の女性ばかりだったのですが、周りの先輩たちを見ていると、このままずっと同じ生活を繰り返し続けていくうちに結婚もできずに、時間だけが過ぎていく光景が容易に想像できてしまいます。
そう考えると、恐怖でしかありませんでした。
若い子からはお局と呼ばれるような年齢になり、放っておいてほしいにも関わらず、周りから結婚はまだかと急かすデリカシーのない人も中にはいます。
職場には様々な先輩たちがいたのですが、アラフォーでシングルマザーだけど再婚を諦めていない人もいれば、アラフィフくらいになると、次第に親からも結婚を諦められる歳になり、開き直って独身を貫いている先輩もいました。
同じ職場で働く周りの先輩たちを見ていて、自分の将来が見えてしまうことの恐怖を感じました。
この先の未来、まったく将来が見えないのも不安ですが、周りの先輩たちを見ていて、将来、自分もああなってしまうのかと容易に想像できることほど怖いものはないとも思いました。
でも、この職場にいる限り、待ち受けているのは代わり映えのしない毎日です。
仕事内容に加えて、こうした職場環境も私が事務の仕事を辞めたいと思ってしまう要因のひとつでした。
精神的に病む日々
ストレスの溜まる作業に、息の詰まりそうな職場環境。
そんな職場と自宅を決まって毎日、毎日、往復。
毎朝、通勤ラッシュの満員電車に揺られて出社。
会社の近くの駅に着くと、皆、同じように並んで歩いていて、自分も他の会社員と同じように大勢の中を歩きます。
出社するだけでも既に疲れていて、朝の時点で、もう帰りたい。
それでいて、毎日代わり映えのしない仕事をこなして、夜は遅くまで残業の繰り返し。
長時間労働にすっかり疲れて帰宅して、やっと1日が終わったと思えば、またすぐに朝がやってくる。
そんな、将来の見えない生活、エンドレス。
こういった状況が積み重なり、
あー、辞めたい。
私は、毎日のようにそう思っていました。
むしろ、辞めたいと思わない日はないくらい。
それくらい、病んだ日々を過ごしていました。
妥協した転職活動
転職するにあたって、私は特にやりたいこともなく、働かなければ生活できないというだけで求人に応募していました。
事務職を選んだ理由は、この先も長く働きたいという思いからでしたが、”応募したら、受かったから”という、ただそれだけの理由の方が大きかったです。
内定を貰った時、不安があったのも事実です。
特に私が従事することになった営業事務の場合、データ入力や電話応対といった仕事内容や、臨機応変に対応しなければならないことから、心のどこかでは絶対に自分には向いていないと気付いていたはずなんです。
それでも、転職活動なんて、どこかで妥協しなくてはいけないという思いと、なにより、待ち望んだ就活からの解放。
この時、焦っていたこともあり、なんとか頑張ったらできるかなという気持ちがあったのも事実です。
入社が決まった以上、覚悟を決めて、ずっと長く働くつもりでいました。
でもやっぱり、精神面で長く続けていけるかどうかって重要だと思います。
職場が変わったら、環境も変わる訳で、また別の悩みが生じてくるのも事実です。
転職したら就きたい仕事
現在事務職をしている500人に、転職するとしたらどんな仕事をしてみたいかを聞いたところ、1位は「接客・販売」となりました。
1位 接客・販売:人と関わるのが好き、接客業に戻りたい
2位 営業:裁量権・自由がある、正当な評価を受けられる
3位 工場・倉庫作業:人と関わりたくない、黙々作業が好き
4位 IT・クリエイティブ職:仕事の成果が見える、需要がある、成長できる
5位 フリーランス・在宅ワーカー:人間関係のストレスがない、働く場所や時間が自由
6位 他の事務職:事務職が好き、経験を活かしたい
7位 ドライバー:一人の時間が長い、車の運転が好き
日々の閉塞感から抜け出したい事務職の人は多いように見受けられます。
全体的に、「もっと人と関わりたい」「体を動かしたい」「日々に変化がほしい」など、現在の事務職での不満を解消できる職業が選ばれていることがわかります。
また、「人間関係のわずらわしさを避けたい」「自由度の高い仕事がしたい」なども挙げられます。
退職したいと思ってから会社を辞めるまで
案の定、自分には向いていなかったことを身を持って体感することになりました。
会社なんて行きたくない。
次第にそう思い始めても、せっかく就いた仕事を簡単に辞めることもできずに、毎日毎日、辞めたいと思い続ける日々が続きました。
嫌だと思う自分の感情を押し殺して、何度も何度も、耐えて、我慢して働き続けました。
みんな頑張っているんだ、大変なのは、私だけじゃない!って。
自分に言い聞かせるかのように、毎日、必死で自分を振るい立たせました。
せめて、次のボーナスが出るまで耐えようって。
それでも、精神的に追い詰められ、特にクリスマスの時期なんかは一人で残業して泣きながら帰った日もありました。
それらが積み重なり、やがて自分の中で限界に達してしまいました。
もう精神的に続けられない!と思うようになり、ついに退職を決意しました。
いつか辞めようと心の奥底では考えていましたが、ついに耐えられなくなり、上司に退職したい旨を伝えることになりました。

今の職場や仕事内容が「事務職の全て」ではありません。
事務職には色々な種類がありますし、職場が違えば環境が変わり、やりがいや働きやすさを感じる可能性もあるからです。
「事務職は好きだけど今の仕事はつらい」という場合は、事務職自体を辞める前に、今とは違う種類の事務職に挑戦してみることをおすすめします。
ただし、給与による評価がほしい場合は、事務職では実現できる可能性が低いため、明確な評価基準がある職種を選びましょう。
最後に
私は、実際に事務職に就いてみることによって、改めて自分に事務職は向いていなかったと気付きました。
接客業や外回りの仕事は、体力的に負担が掛かるかもしれませんが、事務などのデスクワークは、なによりも精神的に苦痛でした。
転職することによって、あの精神的苦痛からは解放されました。
なにかと自分には無理だと感じることが多い事務職でしたが、結果として、社会経験を経て学ぶことは沢山ありましたし、世間一般の常識として勉強になることも多かったと思っています。

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